◇農業 野菜価格上昇などで増/林業 キノコ類生産量増加/水産業 サバ、アジ不漁で減少--前年度比
県は09年度農業、林業、水産業の各白書を公表した。県内産出額(08年度)をみると、農業が米の作況回復や野菜の価格上昇などにより前年度比約31億円増の約2179億円▽林業が木材やキノコ類の生産量増加などで同約13億円増の約126億円となったのに対し、漁業は主力のサバ類、マアジの漁獲減などで同約40億円減の約352億円に落ち込んだ。【江田将宏】
白書によると、県が品種開発し、ブランド作物として重視する農作物の価格や作付面積の拡大は順調に推移している。09年産イチゴ「あまおう」は1万2461トンを出荷(全農を通じた出荷のみ)。市場価格(09年10月~10年4月)は1キロ当たり1188円と、イチゴ主産県の平均市場価格を180円上回るトップだった。海外にも13・5トンを輸出した。一般栽培が2年目となったラーメン用小麦「ラー麦」の10年産作付面積は前年比約4倍の541ヘクタールとなり、使用ラーメン店は31店舗に増えた。
県の森林環境税を財源として取り組む荒廃森林再生事業の09年度実績は、約2600ヘクタールで計画の90%だった。同事業では、推計2万9000ヘクタールに上る県内の荒廃森林を10年間で再生することを目標とし、間伐などの整備を行っている。
漁業では、有明海でのノリ生産が09年度は広範囲で色落ちが発生し、生産枚数は前年度比約3億4000万枚減の約11億600万枚。県の漁区ではサバ類、マアジの漁獲量もそれぞれ約27%、約37%減った。県が機器購入の一部補助などをしているカキ養殖は、豊前海が同547トン増の1850トン、筑前海が同14トン増の229トンと豊作だった。
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白書は、農林水産業の基本計画の実施状況を公表し、産出額や各業界の現状、新たな事業などを解説する。県のホームページに掲載し、県庁の県民情報センターや、北九州、筑後、筑豊、京筑の各県民情報コーナーでも閲覧できる。
[福岡都市圏版]
<毎日新聞 地方版(2010.8.7)>