和歌山県みなべ町のみなべ川森林組合(大串淳組合長)と地域住民でつくる「みなべ里山活用研究会」(石上進代表)は25日、山林所有者や地域が自分たちで山を手入れして木材を出荷し収入を得る「自伐型林業」の現地研修会を同町清川の山中で初めて開いた。参加者は専門家に教わりながらヒノキの伐倒を体験したり、軽架線を使って木材を比較的簡単に集積・搬出する方法を学んだりした。関係者は「今回の研修は第一歩。来年度からの本格的な研修につなげたい」と話していた。
この日は約30人が参加し、地元の林業関係者から木の伐倒方法を教わった後、全国各地で自伐型林業の普及指導をしているNPO「土佐の森・救援隊」(高知県)の中嶋健造理事長(52)から「土佐の森方式軽架線集材法」について学んだ。
木の伐倒ではチェンソーを使い、まず倒したい方向の根元に「受け口」を作り、反対側から直径の1割ほどの「つる」を残して切り込みを入れるなどして倒す方法を林業関係者から教わった。初めて伐倒を体験したという同町清川の梅農家、岡大輔さん(31)は「梅の作業の合間に林業ができればと思って参加した。木を倒すのは緊張したけど面白かった。一朝一夕にできることではないので、これからも練習を重ねたい」と話した。
伐倒作業後は「土佐の森方式軽架線集材法」について学んだ。この集材法は同NPOが考案したもので、シンプルな架線(ワイヤ、滑車、ナイロンスリングなどの組み合わせ)と軽ウインチ(単独エンジンまたは林内作業車のウインチ)を使うことで、簡単で安全に集積・搬出ができるシステム。軽架線を設置する方法を学んだ後、木材の搬出に取り組んだ。
森林組合の松本貢参事(51)は「これだけ多く関心のある人が集まってくれて大変うれしい。研修は繰り返して取り組む必要があり、今回はその第一歩」。石上代表(57)も「今回の経験をもとにして、4月以降、本格的な研修につなげていければ」と話していた。
【自伐型林業の研修会で伐倒を体験する参加者(25日、和歌山県みなべ町清川で)】