石川県は二〇一四年度、建設機械大手のコマツ、小松など四市を管轄する「かが森林組合」と連携し、未利用のまま放置されている間伐材をチップ化し、発電や温熱利用につなげるモデル事業を始める。里山整備や再生可能エネルギー推進を両立させ、将来的に県内各地に広げたい考えだ。(松本浩司)
各地から同組合の工場に運ばれてきた木材は粉砕する機械でチップに加工される。チップはコマツの粟津工場(小松市)に搬入され、木質バイオマスボイラーを使って、工場内で使う電気や熱をつくり出す。同社は同年度に三千トンのチップ利用を見込み、これにより一万立方メートル弱の間伐材が消費される計算だ。
コマツはボイラーの燃料に重油を使ってきたが、価格上昇が続くため転換を模索。森林組合としても利用先のない間伐材の扱いは悩みのたねで、互いの利害が一致した。
またコマツは農業に続き地元の一次産業に貢献できるようになり、組合にとっても、ものづくり企業のノウハウに触れる機会になる。
県は、国の補正予算を活用した県一三年度二月補正予算分として二億六千五万円を計上し、粉砕機とボイラーの購入に充てる。
二月上旬に三者が県庁で「林業に関する包括連携協定」を結ぶ。谷本正憲知事は「里山がよみがえることで、二酸化炭素の吸収や地球温暖化防止にもつながる」と広がりに期待した。