樹木2000本にネット設置 三嶺のシカ食害防止、NPOなど3年で達成 【徳島県】

200_1JArO0wnニホンジカの食害が深刻な三好市東祖谷の三嶺(標高1893メートル)中腹で、NPO法人・三嶺の自然を守る会などが樹木に防護ネットを巻き付ける活動を続け、処置した樹木数が2千本に達した。豊かな森を守ろうと、徳島森林管理署などの協力を得て始めてから約3年。山全体からすればまだ一部だが、一定の効果は表れていて、関係者は活動継続に意欲を燃やしている。

三嶺では2007年ごろから、登山口付近から山頂にかけてのほぼ全域で食害が目立ち始めた。被害が深刻化し始めた10年7月、守る会は、徳島森林管理署の許可を得て活動を始めた。以来、これまでに11日間活動。守る会会員に加え、他の環境保護団体の関係者や県、徳島森林管理署の職員ら延べ310人が参加し、2084本の樹木にネットを巻き付けた。

ネットを取り付けているのは登山道の一部で、「ダケモミの丘」と呼ばれる尾根周辺の標高1400~1600メートルの国有林。シカが好んで食べる「ウラジロモミ」と「リョウブ」の群生地で、特に被害が目立つ。

シカが樹皮にかみつけないよう、樹木の根元から高さ1・5メートルのネットを幹回りに巻き付けている。ネットは徳島森林管理署が提供。10年ほどで土に返る材質で、自然環境にも配慮している。

ネットを巻いた一帯では被害の拡大が防がれているほか、樹皮が復元した樹木も。暮石洋代表(64)=徳島市末広4、自営業=は「無数にある木の中では2千本と言ってもほんのわずか。今後も活動を継続することが大切で、少しでも樹木の保護に役立てたい」と話している。

【写真説明】三嶺中腹の樹木に防護ネットを設置する三嶺の自然を守る会会員=11月9日、三好市東祖谷菅生(三嶺の自然を守る会提供)

徳島新聞