伊勢丹新宿店「ふしとカケラ」展 木の生きた証し、大切にする家具

art13102408040003-n1同じデザインの木の家具が2つ並んでいるとする。1つには小さな節があるが、片方はシミひとつない美品。きっと大半の人は後者を選んで買ってゆくだろう。しかし、日本を代表する工業デザイナー、深澤(ふかさわ)直人さんはこう提案する。「節やシミは木が生きた証し。むしろこの家具は、チャーミングな意匠、二つとない個性を持っていると考えられないか」と。

「ふしとカケラ」と題したデザインイベントが、伊勢丹新宿店(東京都新宿区)本館1階ザ・ステージで開かれている。展示販売されているのは主に、深澤さんと老舗家具メーカー、マルニ木工(広島市)による名作椅子(いす)「HIROSHIMA」だ。

そもそも自然の木目を生かした「HIROSHIMA」は、そのデザイン上、節やキズを塗装で隠すことはできない。見た目が商品に向かないとはじかれ、工場にたまってゆく部材を見て、伊勢丹のバイヤー(仕入れ担当)はふと、ひらめいたという。「個性を楽しむ商品として、(消費者に)受け入れられないだろうか…」

深澤さんやマルニ木工も賛同し、節のある「HIROSHIMA」を初めて伊勢丹で特別販売したのは2年前。本当に売れるのか不安もあったというが、結果は1週間で30脚を完売。価値の多様化とともに、不均一をあえて、自然ならではの魅力ととらえる層がいることを実感したという。

今回は人気デザイナーの皆川明さんも参加。自身のファッションブランド「ミナ ペルホネン」で使用した余り布(カケラ)をパッチワークし、「HIROSHIMA」の座面を彩っている。また、使い込んで糸がすれると、中に織り込まれた別色の糸が現れるという、特別な布のバージョンも。「経年変化を楽しんでほしい」と皆川さんは話している。29日まで。

産経ニュース