群馬県東吾妻町の林業者や建設業者でつくる「あがつま森林育成事業協同組合」(入江勝郎理事長)は、東吾妻町内に木材チップ製造工場を建設する。間伐材を使って木質バイオマス発電の燃料となるチップを生産し、林業振興につなげるのが目的。同組合では、納入先に見込む吾妻木質バイオマス発電所(東吾妻町岡崎)を運営する吾妻バイオパワーと販売価格などを最終調整している。
木材チップ製造工場は、東吾妻町植栗の0・7ヘクタールの土地に今年中にも建設予定で、総事業費は約5500万円。同町は同組合に対し、町企業立地促進条例に基づき、事業費のうち1000万円と、3年間の固定資産税相当額を補助する方針だ。同組合は、群馬県の「林業県ぐんま確立対策事業」の補助金申請も検討している。
東吾妻町は、2009年1月に「東吾妻町バイオマスタウン構想」を策定。家畜排せつ物や山林に放置された間伐材(林地残材)の利用目標を定めた。それによると、町の約8割を占める森林で発生する林地残材は年間約2万3000トンで、そのうち約1万4000トンを発電利用するとしている。吾妻木質バイオマス発電所での利用を期待しての目標だった。
11年9月に運転を開始した吾妻バイオパワー社も当初、東吾妻町を含む吾妻郡内の林地残材など未利用材のチップを年間1万8000トン調達することを計画していた。しかし、「販売価格や安定的な供給態勢など条件面が合わず」(関係者)に、12年10月に実証実験で約30トン利用しただけだった。木材チップ製造工場が近くにないことも一因という。
そのため、町内の林業者と建設業者計7社が昨年6月、「あがつま森林育成事業協同組合」を結成。同社から約8キロの距離に工場を建設することにした。入江理事長によると、吾妻郡内を中心に森林組合や林業者から未利用材を調達し、日量50トンのチップを生産する計画。同町の中沢恒喜町長は「林地残材の利用にメドが立てば、林業振興や森林整備につながる」と歓迎している。
あがつま森林育成事業協同組合は現在、吾妻バイオパワーと納入量や価格を最終調整中で、親会社のオリックスグループ広報部も「前向きに受け入れを検討している」としている。