長野県伊那市は、元信州大学農学部教授で島崎山林塾主宰の島崎洋路さん(85)=同市坂下=の「第23回みどりの文化賞」受賞を記念した講演会を1日、同市のいなっせで開いた。島崎さんが「よみがえらせよう日本の山」と題し、森林管理に関わった経緯や自身が考案した間伐法について話した。
みどりの文化賞(国土緑化推進機構主催)は、緑や森林に関して功績のあった個人・団体を対象に毎年1人(団体)を顕彰している。島崎さんは森林整備への長年の功績が認められ、今年5月に表彰された。
講演会で島崎さんは、「間伐に関心を持ったきっかけは学生運動だった」と紹介。当時、信大でも大学がバリケード封鎖され、運動に参加していない学生は授業を受けられなかったことから、島崎さんが山の見学に連れて行った。その際、カラマツだらけの山を見て「早急に間伐をしないと大変なことになる」と決意したという。
1977年には残す木を先に決めてマークし、その周囲の邪魔になる木を間伐する「保存木マーク式間伐法」を考案。同方式で間伐して木が少なくなった山を見て、地域の長老から「何てことをしてくれたんだ」と怒られたが、「10年待ってくれ。10年後には効果が出ます」と説明し、やっと了解を得たという。
講演会には市や県、信大農学部などの関係者、林業従事者ら約80人が参加し、島崎さんの話に聞き入った。