2013年08月01日
和歌山県みなべ町内で、利用価値の低い雑木や間伐材などの森林資源を農業用薪(まき)ボイラーや家庭用薪ストーブの燃料として活用する取り組みを広げていこうと7月31日、町民有志でつくる「みなべ里山活用研究会」が発足した。同町清川で昨年度から住民グループが薪ボイラーを使ったエコ農業を始めたことがきっかけとなった。国の助成制度を活用し、薪を安定供給して薪ボイラーなどを普及させる仕組みをつくりたい考えで、メンバーは「森林資源を使ったエネルギーを地産地消することで、林業の活性化にもつなげたい」と話している。
薪ボイラーを使ったハウス栽培は、木材を燃料としたボイラーで熱せられた温水がハウス内の土壌に埋め込まれた配管を循環し、地中から温める仕組み。石油加熱ボイラーの燃料となる重油価格の値上がりや環境意識の高まりなどを背景に注目されている。
清川地区では「清川地区里山活用研究会」(11人)が、県の過疎対策事業の一環として薪ボイラーを導入し、昨年度からインゲン豆などのハウス栽培に取り組んでいる。地区外の農家から「自分も取り組みたい」という声が寄せられ、交流も生まれていたことが団体発足につながったという。
みなべ里山活用研究会では、国が本年度から、地域住民のグループが里山整備や森林10+ 件資源の活用に取り組むために創設した助成制度「森林10+ 件・山林多面的機能発揮対策交付金」の活用を検討。薪を安定供給したり、効率のよい薪ボイラーの普及に取り組んだりする仕組みをつくることを目指している。
具体的には、交付金を活用して薪ボイラーを導入することや山からの伐採搬出を機械化し作業能率を高めること、自動薪割り機を購入し薪を安定生産することなどを計画。薪として利用する木材は、現在は利用されていない広葉樹、植林されたスギ、ヒノキの間伐材などを想定しているという。
清川にある紀州備長炭振興館に7月31日、関係者約15人が集まって団体を設立。メンバーは清川地区里山活用研究会以外に、同町晩稲や西本庄などの農家、製炭者らが参加しており計17人。代表には清川地区里山活用研究会で代表を務めている石上進さんを選出した。
石上代表は「山の木を活用することは山を良くすることになり、薪ボイラーを使ったエコ農業によって循環型の資源活用ができるようになる。まずは自分たちが実践する姿を見てもらって、地域に広げていくことができれば」と意気込んでいる。
タグ: 国内 :: IN JAPAN, 森林, 間伐