よみがえれ被災地の森林 上田の小学生が種まき

2013年05月19日

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長野大(上田市下之郷)環境ツーリズム学部の高橋一秋(かずあき)准教授(42)=森林生態学=らのグループが、東日本大震災による大津波で流された宮城県山元町の森林をよみがえらせようという取り組みを上田市内で始めた。同県で採取したドングリを育ててコナラの苗木にし、3年後に同町に植える計画。18日は塩田西小学校(同市山田)で、同校の1年生ら12人がドングリをプランターに埋めた。

 山元町では海沿いに植えられた防風林が津波で失われた。高橋准教授は中学、高校時代を山元町から30キロほど離れた同県白石(しろいし)市で過ごし、「専門を生かしてできることをしたい」と、親戚で同市白石第二小学校の女性教諭と一緒に森林の再生を計画。経団連自然保護基金の本年度の支援事業に選ばれ、175万円余の補助金を受けた。

 同准教授は今月10、11日、長野大生17人と一緒に宮城県を訪れ、山元町と白石市の里山でドングリ計約800個を集めた。約200個は白石第二小の児童が育て、長野大の分を400個、塩田西小の分を200個ほど預かった。

 18日は学生が寸劇で塩田西小の児童たちに計画の狙いを説明してから作業。児童たちは四つ用意されたプランターに名札を立て、土にドングリを一つずつ丁寧に埋めた。プランターは校内に置き、1年生が毎日水をやって育てるという。1年武田智裕(ちひろ)君(6)は「ドングリが大きな木になるなんてすごい。頑張って育てたい」と話した。

 同准教授によると、今後も順次ドングリを採取し、苗木を育てていく。最初の苗木を2016年5月ごろに塩田西小の児童らが山元町で植えて、地元の小学生たちと交流したい考え。同准教授は「森林が完全によみがえるには20~30年かかると思うが、子どもたちの力を借りながら続けていきたい」と話している。

信濃毎日新聞


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