森林ピンチ 害虫増加 県、“再生”アイデア持つ事業者募る 和歌山

2013.5.14

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■価格ダウン→放棄地拡大

 県内の森林がピンチに陥っている。輸入材の増加に加え、数年前から木材に穴を開ける害虫が増えて価格が下落し、「伐採して売っても利益が出ない」と所有者が手入れを放棄する森林が拡大。県森林整備課は「持続可能な林業」の再生を目指し、新たな森林経営モデルの公募を始めた。

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 県や林野庁によると、国内の木材価格は輸入材に押されて昭和55年をピークに下落傾向にあるうえ、戦後に植栽した木材が出荷時期を迎えて供給過剰の状態。手入れをしても赤字になることなどから、放棄地は平成20年に89ヘクタール、22年に123ヘクタールと増加している。さらに問題となっているのが害虫の増加だ。

 県によると、紀南地域で広がりの兆しを見せているのは「スギノアカネトラカミキリ」。幼虫が木材の内部を食い荒らすため、被害木は価格が大幅に下がる。

 県森林整備課は「スギノアカネトラカミキリは昔からいた害虫。枝から内部に入り込んでいくため、枝打ちなどの手入れをしていれば被害は防げる」と指摘するが、現在は赤字になるため枝打ちなどの手入れが行われず、そのために害虫が繁殖、さらに木材価格が下がるという悪循環に陥っている。

 このため県は、害虫の被害を受けた森林でも木材の生産や販売が可能で、伐採後の植林にもつながるモデル事業の実施を決定。独自の解決策を実践できる林業事業者を公募し、選ばれた事業者に古座川町内の県有林約32ヘクタールをモデル林として提供。県に約1千万円を支払う条件で、モデル林の伐採や木材販売、植林などの経営を任せる。

 同課は「害虫に穴を開けられても木材の強度は落ちない。建物の基礎への利用や新たな集成材の利用方法など、多彩なアイデアを実行できる事業者を求めたい」としている。問い合わせは同課((電)073・441・2981)。

msn産経ニュース


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