2013.04.05
農水省は昨年度に引き続き、福島県内の森林で、土壌や落葉層、樹木の葉や幹などの放射性セシウムの濃度とその蓄積量を調べ、その結果を公表した。
◆葉、枝、樹皮とも大幅に濃度低下
この調査は、昨年も調査した福島第一原発から26kmの川内村(スギ)、同66kmの大玉村(スギ、アカマツ、コナラ)、同134kmの只見町(スギ)に加えて、川内村上川内(スギ)の4カ所で実施された。
3樹種の放射性セシウム濃度を測定した大玉村では、昨年度に比べ、いずれの樹種でも、葉や枝、樹皮、落葉層の濃度が大幅に低下した。材(辺材と心材)の濃度は昨年度と同様に他の部位と比べて極めて低くほとんど変化がなかった。また、葉以外では樹種による差が昨年度より小さくなった。
汚染度の異なる川内、大玉、只見のスギ林における放射性セシウム濃度は、昨年度と同様に現地の空間線量率が高いほど濃度が高かった。また、いずれの地域でも昨年度に比べて、葉の濃度が大幅に低下、枝や樹皮の濃度は概ね半分以下に低下した。材全体(辺材と心材の平均)の濃度は昨年度と同様に他の部位と比べて極めて低くほとんど変化はなかった。
◆土壌中の濃度高まる
森林全体の放射性セシウムの蓄積量は昨年度と比べて大きな変化はみられなかったが、減少がみられたのは川内と大玉のスギ林だった。また蓄積量の内訳は、いずれの調査地でも昨年度に比べ、葉や枝、落葉層に蓄積する割合が半分程度以下に減少し、土壌中の濃度が高くなり、土壌に蓄積する割合が2〜3倍に増加した。
今年度から調査を実施した川内村上川内のスギ林では、土壌よりも落葉層や葉、枝に蓄積する割合が高く、昨年度の他のスギ林の分布割合に類似した結果となっている。
こうした調査結果から、葉や枝、樹皮の放射性セシウム濃度が低下したのは、放射能の減衰や放射性セシウムが雨などで洗い流された(溶脱)ことなどによると林野庁では分析している。また、樹木からの溶脱や落葉層の分解により地表に移動した放射性セシウムが土壌表層に吸着保持されたため、土壌中の濃度も蓄積量も昨年度に比べて増加したと考えている。
そして、森林全体の放射性セシウム蓄積量は、放射性セシウムの物理的減衰以上に減少していないことなどから、森林外への流出量は少ないとみている。
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