間伐材漁礁:マハタなど小魚の休息確認−−平塚海岸沖合 /神奈川

2013年03月20日

mahata

◇市農水産課「大きな魚集まる漁場に」

 平塚市漁協などが昨年3月、間伐材が魚礁として活用できるかを調べるために平塚海岸の沖合約1.6キロ、水深約40メートルの海底に、間伐材のヒノキや松を束ねて沈めたところ、周囲をマハタやネンブツダイ、オキゴンベが泳ぐなど、小さいながらも魚が休息する魚礁になっていたことが確認された。市農水産課は「2年ごとに間伐材を海底に沈め、大きな魚が集まる漁場に育てたい」と期待している。【渡辺明博】

 間伐材は、秦野市の浅間山のヒノキと台風で倒木した湘南海岸公園(平塚市高浜台)の松を使った。細かい枝や葉が付いた長さ約4メートルの間伐材を3本束ね、下の部分に重さ約150キロのブロックをロープで巻いて固定したものを漁船で運び、海底に沈めた。

 県水産技術センター相模湾試験場の協力で昨年11月、照明を当てて水中カメラで調べると、間伐材の葉の部分は完全になくなり、枝とブロックの部分だけが残っていた。さらに枝の周りに多くの魚がいることが確認された。体長5センチ前後のネンブツダイは数十匹が群れになって泳いでいたという。 

 海中の木にはフナクイムシなどの貝類が付きやすく、この貝を求めて小魚が集まるとされる。水中カメラで貝類は確認できなかったが、確実に小魚が集まっていることで、この小魚を食べるために体の大きいカサゴやヒラメなどの高級魚が間伐材周辺に来ることが期待される。

 平塚海岸沖の海底はほとんどが砂場で、同海岸の両端の大磯と茅ケ崎の沖合には岩礁がある。このため平塚海岸沖は魚の通り道で、魚が休んだりすることはあまりないとされている。間伐材魚礁が増えれば、新しい魚のたまり場にもなる。 

 市農水産課は「平塚海岸沖に魚礁ができれば、魚の回遊に変化が生まれ、定置網でこれまで以上に魚が取れる可能性も高まる。間伐材に葉があった方が魚が集まりやすいので、2年ごとにでも間伐材魚礁を沈めて魚を集めたい」と話している。 

毎日新聞


タグ: , ,