森林整備に優しい馬搬 信濃の森に広がる夢 長野

2013.1.1

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県土の8割を占める森林は県民共有の貴重な財産だ。水源を擁する森を大切に支え、育てていくことを目的とした県の森林づくり県民税(森林税)が平成25年度から5年間延長され、県水資源保全条例案も今年2月の定例県議会提出に向けて作業が進む。「森林元年」にも例えられる状況に、森に対する関心がかつてないほど高まる。こうした中で森林環境に負荷をかけない整備手法として「馬搬(ばはん)」が注目されている。(太田浩信)

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 ■技術伝承に研修会

 森林整備には、森の中に人間が分け入って適切な樹林密度にする間伐作業が欠かせない。森の荒廃を防ぐために伐採した間伐材を運び出すには、林道建設などの環境整備が必要だ。ただ林道を開いて森林に負荷をかけることを心配する声もある。こうした中で効果が期待されるのが馬搬だ。馬を使って森の中から切り出した材木を運び出す技術で、かつては全国各地の森林で行われていた。

 作家のC・W・ニコルさんが理事長を務める「C・W・ニコル・アファンの森財団」は昨年11月、信濃町にあるアファンセンターで初めての馬搬技術の伝承研修会を開いた。なじみが薄い技術にもかかわらず、県や森林管理署、森林組合など林業関係者ら約40人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

 同町で森林の再生に取り組む財団は、トラスト活動で広げてきたアファンの森の30・5ヘクタールに加えて、昨年3月に同管理局北信森林管理署との間で隣接する国有林27・4ヘクタールを一体的に整備する協定を締結した。ニコルさんはこの森の整備に「馬搬の可能性を試したい」と意欲を燃やす。研修会は、その取り組みへの第一歩だという。

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