間伐事業:「勝手に木切られた」 鳥羽市と県に地権者抗議 /三重

2012年12月26日

28234森林機能の回復を目指し「森と海・きずな事業」に取り組む鳥羽市の要望を受け、県伊勢農林水産商工環境事務所が昨秋、同市河内町の山林で行った間伐事業について、地元の地権者が「承諾した覚えがないのに勝手に木を切られた」と抗議していることが、関係者への取材で分かった。

 同事務所は市経由で提出された土地使用承諾書に基づき間伐を行ったが、地権者の強い反発を受け今秋、現地で予定していた水位計測の関連工事を差し止め、地権者の印が押された承諾書提出の経緯を調べている。

 抗議しているのは河内町の無職、奥村徳重さん(72)。所有山林1・43ヘクタールのスギやヒノキ約600本(直径10〜30センチ)が、県事業で昨年10月から12月にかけて伐採された。奥村さんは今春、伐採に気付いていたが、11月下旬に「書いた覚えのない承諾書が県事務所に提出されていると初めて知り、びっくりした」と証言する。

 市は昨年度から、林業従事者の減少で荒廃する森林機能を良くし海の活力を高める間伐事業を実施。河内町では山林約15ヘクタールの間伐を計画している。市が県に伐採を要望し、昨年10月、近隣の地権者や団体を含む3カ所の土地使用承諾書を同事務所に提出した。

 承諾書を見た奥村さんは「私の印鑑と似た印が押されていた。妻(69)と何度も確認したが、絶対に判は押していない」と憤る。市担当職員は「昨年10月に奥村さん宅を1回訪ねた。今となっては承諾書をもらったかどうか、記憶にない」と話す。鳥羽市の益田由典・農水商工課長は「記録を怠り反省している。現段階で事実は分からないが、奥村さんに理解を求めたい」と話している。【林一茂】

毎日新聞


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