2012年10月28日
名古屋港の開発や管理を行う「名古屋港管理組合」(管理者・大村秀章愛知県知事)が国の補助を受けて港内に植えた樹木約3400本を撤去する際、十分に再利用の方法を検討しないまま伐採し、全てを焼却処分していたことが会計検査院の調査で分かった。近くに移植できる場所があったといい、検査院は不適切な伐採 と認定する方針。
樹木があったのは名古屋港内にある「金城(きんじょう)ふ頭中央緑地」(90年完成、約7万4000平方メートル)。管理組合によると、伐採した区域の植栽事業は88、89年度に約5000万円の補助を受けて行われ、クスノキやナンキンハゼなど約4700本を植えた。
その後、近くに駅ができたことなどから、管理組合は09年度から緑地のうち約6600平方メートルの再整備を開始。10年度に国の許可を得たうえで、樹木約3400本を伐採 した。不要になった樹木は全てチップにして焼却処分したという。
しかし、検査院が現地を調べたところ、港内には植栽が必要な土地が約50ヘクタールあることが判明。緑地内には一部が枯れている木もあり、植え替えれば有効に再利用できたが、検討されなかったという。
管理組合は「今後、伐採をする際には十分な検討をするよう努めたい」とコメントした。
伐採された跡地には船の帆を模した展望休憩所や夏場に涼しさを感じられる噴霧器などが約1億5000万円で整備されたが、周囲はコンテナなどが集まる物流基地で、平日はほとんど人通りがないという。タクシー運転手の男性(73)は「わざわざ木を切ってまで整備する必要があったのか」と話した。【古関俊樹、川名壮志】
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