静岡産スギの間伐材を活用したガードレールが、ワサビ栽培発祥の地とされる静岡市葵区有東木(うとうぎ)地区に登場した。山あいにワサビ田と茶畑が点在する景観に調和させることと、静岡産木材の利用促進を図ることがねらい。木製ガードレールは県内では浜松市や伊豆市などだけで、中部地区では初めてという。(山田知英)
有東木地区は山梨県境に近い山あいにワサビ田と茶畑が広がり、2008年には県景観賞の最優秀賞に選ばれた。木製ガードレールへの交換作業は、まず支柱間を渡してある白い「レール」部分を茶色い鋼板に交換。そのうえで、鋼板の道路側に、直径18センチのスギの丸棒を半分に割ったものをボルトで固定する。防腐処理された丸棒は薄緑色で、背景の景観に溶け込むよう工夫されている。
今回、木製ガードレールは、特産物販売店「うつろぎ」前から集落に続く道路115メートルに設置された。スギの丸棒は静岡市葵区牛妻産だ。
国の設置基準でガードレールは金属またはコンクリート製に限られていたが、現在は強度など一定の性能を満たせば材質は問われない。色も、04年から「周囲の景観に配慮し、目立たせなくてもいい」となり、木製ガードレールの採用が可能となった。
同市は森林が4分の3を占めるが、林業不振は深刻。地元産木材を使ったガードレールは、木材の地産地消につながるうえ、間伐材の活用が進めば、森林保全にもなるというわけだ。
県森林組合連合会によると、木製ガードレールは従来型と強度は変わらないが、部材などの費用は3倍。このため、県内でも総延長で500メートルほどしか導入されておらず、コストダウンが普及のカギになるという。
有東木町内会長の望月義弘さん(52)は「白く塗られた鉄製と違い、木目のガードレールはワサビ田や茶畑、木々の緑とマッチし、ぬくもりを感じる。山で働く人も少なくなっており、少しでも木材のPRになれば」と期待している。同市は「利用者の反応を見ながら、他の地域にも広げるか考えたい」としている。
(asahi.comより)