森林組合が初収穫 休耕田増で米作り委託 古座川町

2012年09月06日

2381341

和歌山県古座川町の委託を受けて同町潤野の田んぼで米作りをしている南紀森林組合(同町明神)が5日、初収穫をした。過疎高齢化などで休耕田が増える中、昨年9月の台風12号で多くの農地や農機具が浸水し、さらなる休耕田の増加が懸念されており、解決法を探るために行っている。町は「地域力を生かした新しい組織づくりを目指したい」と話している。

町によると、町内で千平方メートル以上の水稲の作付面積がある農家の農地は、2010年度の42・87ヘクタールから11年度は41・80ヘクタールに減少。被災後、町は農機具の修復に補助金を出すなど対応してきたが、台風被害などの影響は大きく12年度は35・54ヘクタールとなり、前年度比85%に落ち込んでいる。

町は休耕田を減らすために必要となるのは「地域力」と考え、高額なため個人で難しい農機具の購入などを地域でカバーし合える新たな組織づくりを構想している。その一つとして、若い人が多く勤務し、組織力に期待できる同組合に対し、町は本年度「地域農業支援実証事業」として委託した。組合員の所有する田んぼの米作りを同組合が手伝っている。

中心となっているのは同組合職員の倉矢敬範さん(39)と丸山雅雄さん(44)で、2人とも実家の米作りもしている。田んぼは同町潤野にある計0・5ヘクタール。今シーズンは米作りを休む予定だった場所だが、倉矢さんと丸山さんが4月中旬から耕し、下旬から5月上旬にかけて水を張り、5月上旬に田植えをした。

JAみくまのがコシヒカリの苗の提供や営農指導を行い、農機具も貸した。地元住民に水の調節方法などを教わりながら、消毒やあぜの草刈りもし、収穫にこぎ着けた。「無事に育ってよかった。ほっとした」と丸山さん。倉矢さんも「中心になって米作りをしたことはなかったので大変だったが、いい勉強になった」と話している。

約2・5トンの収穫を見込んでおり、同町月野瀬の南紀月の瀬温泉ぼたん荘に買ってもらったり、観光施設で販売したりする他、インターネット上でも販売する予定。

町産業振興課の岡田成隆課長は「地域には高齢者が多く、手助けを期待する声もある。地域力を生かした新しい組織づくりを着実に進め、森林組合を中心に他の人を引き込み、米作りの担い手となってもらえる人の輪を広げていけたら」と話している。

AGARA紀伊民報


タグ: ,