2012.8.2
市場価格の低迷や製品化の困難さに直面している間伐材の利用を促進しようという取り組みが長野県内各地で広がっている。この中の一つ、中野市の「マルショウ佐藤建設」は北信地域に比較的多い杉の間伐材を使った小屋やベンチなどの開発に取り組んでいる。
「間伐された丸太が地面に転がっているのを見て心が痛んだ。何とか有効に製品化できないかと考えた」。同社の佐藤啓三社長は、かつて山の中に入って見た光景をこう振り返る。直径が小さい間伐材は製品化には不向とされてきたが、佐藤社長は木造住宅の建設に長年携わってきたノウハウを生かして開発に着手した。コストも仕入れを北信州森林組合(中野市)から直接行い、大幅に引き下げたという。
製材加工も通常の高温乾燥ではなく低温で1週間前後をかけてじっくり乾燥させる独自の技術を取り入れ、しっとりとした手触りとすることに成功した。また、燃料も重油によらず、製材で不要となった木くずを使うことで森の資源を最大限に活用することができた。
現在のラインアップは、屋外設置型の小屋(幅2メートル、奥行き3・6メートル、高さ2・5メートル、価格63万円)▽屋根付きベンチ(幅1・8メートル、奥行き1・5メートル、高さ2メートル、価格8万9千円)▽生ごみを堆肥化するコンポスト(価格6300円)-の3種類。耐久性を高めて木目の美しさを長持ちさせるための木材保護塗料を重ね塗りするなどして、杉材の特徴を最大限に引き出した。
佐藤社長は「毎日の生活に木と触れ合える機会をつくってもらえればうれしい。身近に使って木の良さをより多くの人に知ってもらいたい」と話す。
順調に販売できれば、年間2千本以上の間伐材を原材料に使用する予定だという。問い合わせは同社(電)0269・22・5358。
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