日立製作所、ラオスの森林環境とマラリア感染の調査で「指静脈認証」の実証実験

2012年7月23日

ecojapan_logo

日立製作所は、ラオスで行われている森林環境とマラリア感染の調査で、独自開発した生体認証技術の「指静脈認証」の活用に向けた実証実験を7月19日に始めた。長崎大学の熱帯医学研究所と共同で8月11日まで行う。現地住民の本人を特定した追跡調査の精度を高めることが狙いとなり、同国南部サワナケート県セポン郡の住民約3500人を対象にする。

 森林環境とマラリア感染の調査は、大学共同利用機関法人の人間文化研究機構総合地球環境学研究所が同郡で実施し、森林環境によるマラリア媒介蚊の発生と住民のマラリア感染の関連を調べている。調査では現在、住民を登録して名前、住所、婚姻、出生、死亡、移動の状況などを3カ月に1度の家庭訪問で聞き取り、住民の変化のデータを把握・蓄積している。

 しかし、調査地域では住民が複数の名前や居住地を持ち、長期間の継続調査で必要な本人特定が困難な場合があるため、日立の指静脈認証技術を活用する。指静脈認証技術は、指の静脈のパターンの画像から静脈が存在する部分を検出して個人を認証する仕組み。聞き取り調査で指静脈情報を登録し、その後の追跡調査の精度を向上させ、調査データの改善を図る。

 実証試験の成果を利用することで、周囲の森林環境の状況と血液検査によるマラリア感染歴を組み合わせた分析が可能になる。総合地球環境学研究所は、マラリア感染の経路や発生源の特定、環境の変化との関連を解析し、マラリア発生の予測や感染予防の取り組み、環境改善に向けた提言を目指す。日立はこれを機に、指静脈認証の活用範囲の拡大を進める。

eco japan


タグ: , ,