県林業公社の分収率引き上げ 達成は目標の半分以下

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2012.5.27 信濃毎日新聞

 県林業公社(長野市)が本年度までの5年間で進める「経営改善集中実施プラン」のうち、造林の契約を結んでいる町村有林で伐採時に木材の販売収益を町村と分け合う比率(分収率)について、同公社の取り分を高める計画が達成できない見通しであることが26日、分かった。300億円超の長期債務を抱える同公社の増収策として盛り込んだが、町村側の同意が得られにくく、見直しは目標の半分以下しか進んでいない。

 同プランは33町村が所有する森林計4475・5ヘクタールを対象に、県林業公社の現行の取り分55%または60%を70%に引き上げると計画。しかし2011年度末までに契約変更したのは2043・8ヘクタールで、対象の45・7%にとどまる。

 同公社によると、契約を結んでいる町村有林は慣習的に地元住民がまきや山菜を採取している土地も多い。このため町村の取り分が減ることへの理解を得るのに時間がかかっているとしている。

 同公社は、町村だけでなく財産区や個人などを合わせて計1万5773ヘクタールでも収益を分け合う契約を結んでいる。比較的同意を得やすいと考えた町村との交渉から始め、将来は財産区や個人ともすべて分収率の見直しをする方針だったが、難航している。

 同公社の10年度決算によると、獣害対策や枝打ちなどの事業で6億5700万円の費用がかかったのに対し、間伐材を販売して得る自前の収入は600万円。県と日本政策金融公庫からの借入金、国からの補助金で事業の経費を賄う状況が続いている。

 1970年代以降、造林を積極的に進めた結果、10年度末の借入金残高は306億8300万円。一方、同プランは木が成長して販売が進むと見込み、2026年度に残高は減少に転じ、76年度には27億円余にまで減ると計画している。

 木材価格の低迷が続く中、分収率の見直しも想定通りに進まず状況は厳しいとみられるが、同公社の林伸幸副理事長は「これまでの成果だけで将来の収支は予測できない。目標達成に向けて取り組む」としている。


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