2011年12月5日
森を散策して心身をリフレッシュしてもらう智頭町の取り組み「森林セラピー」が、今年7月末にスタートして4か月。11月中旬に冬季休業に入り、1年目を終えた。同町の芦津渓谷の「セラピーロード」には、県外からも多くの人が訪れ、専門ガイドと一緒に巡って心身を癒やした。「智頭町森のガイドの会」副会長の植木さんに、森林セラピーの魅力や来年度の展望などを聞いた。
――1年目の手応えは。
オープン前からモニターツアーを行い、オープン後は、ガイド1人につき半日コース(約3時間)で8000円、1日コース(約7時間)で1万3000円で行っています。8月から11月までに79組960人が訪れました。ほぼ半数が大阪、兵庫、岡山などの県外からで、町に多くの人を呼び込めていることに手応えを感じています。
――森林セラピーにはどのような魅力がありますか。
渓流沿いのセラピーロードの周りにはスギやブナ、コナラなどの緑があふれ、野鳥のさえずりや川のせせらぎが心地良く耳に響きます。また、高さ約40メートルの「三滝(みたき)」を見下ろせるのも見どころのひとつです。近くの「三滝ダム」のダム湖は、カエデやモミジに囲まれていて、四季折々の景色を楽しんでもらえます。
――リフレッシュのための工夫を教えてください。
目を閉じてゆっくりと歩き、森の音を楽しんでもらったり、ロードの途中で、木につるしたハンモックで自由に寝転んで楽しんでもらったりしています。セラピーに同行するガイドが様々なメニューを準備しており、個々のガイドが独自の工夫もしています。私は、家で作ったブレンドティーをいつも持参し、休憩の時に飲んでもらいます。甘茶をベースに乾燥させたゴーヤやモロヘイヤ、ゴボウなどの野菜も加え、お茶を飲んで、ほっとした気分になってもらおうと心がけています。
――今後の課題は。
オープン後は旅行会社のツアー客など団体客が増えました。ガイド1人につき、6人までを案内しているのですが、複数のお客様の表情などに目配りし、皆に満足してもらえるよう、ガイドのスキルアップが課題です。また、現在登録しているガイドは52人。普段は仕事をしている人もいるので、平日に案内できるガイドを確保するために、募集を続けていく必要があります。来年4月には、ガイドの養成講座の受講者が新たに加わり、計約80人になりますが、来年も15人程度の募集をします。
――意気込みを。
来年5月の再開までに会の中に三つの専門部会を作ります。芦津渓谷以外にも町内の各所を回って、セラピーロードの拡大を考える部会のほか、食について考えてもらい、途中で食べてもらうお弁当やお菓子などのメニューを検討する部会、より癒やし効果を高めるためにメンタルヘルスを学ぶ部会に分かれ、もっと利用者に満足してもらえるよう努めます。町内の人たちに体験してもらい、協力の輪を広げ、町全体で盛り上げていきたいですね。
(聞き手・家城健太)
■メモ 倉吉市出身。20歳頃に大山に登り、木漏れ日の心地良さや星空の美しさに感動して以来、毎年、全国で登山するようになった。2010年7月の同会発足から副会長を務めており、「登山の経験も生かして智頭の山や森の魅力を伝えていきたい」と話す。森林セラピーの問い合わせは、町森林セラピー推進協議会(0858・75・3117)へ。
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