「必要ない森林整備で固有の動植物激減」ヤンバル破壊に警鐘

2011年11月7日
img4eb72d92075ed
 県が国頭村内で進めている林道開発工事は希少動植物に危害を与え違法だとして県民9人が県を訴えた訴訟の原告・弁護団や市民団体ら約10人が6日、村内で村有林の伐採が進められる現場を視察した。天然林の伐採と造林により、かつての自然とは異なる人工林が広がる現状に、原告団長の平良克之氏は「自然保護や経済性の観点からも必要性のない森林整備事業で沖縄固有の動植物を激減させている。多くの県民に知ってもらいたい」と語った。
 同日は、「やんばるの自然を歩む会」の玉城長正代表が国頭村謝敷、宜名真、辺戸などの現場を案内した。訴訟団は、一定面積全てを伐採する皆伐で流れが途絶えた小川や、崩れて赤い山肌を見せる斜面、造林によって県指定の樹木しか育たない林などの現場を確認。林道が森への進入路となって天然記念物の昆虫が乱獲される現状や、開発で追いやられて車道でひかれる小動物が増加していることなどの説明を受けた。
 北部の森林を30年以上観察してきた玉城代表は、動植物の生態系を育んできた貴重な天然林を伐採、造林した場合、激変した環境にかつての動植物が戻るために長い年月がかかると指摘。「伐採と造林でかつての生態系と命の営みは失われ、造られた貧弱な森に変わる。遠目には同じ森に見えるが、固有種のいない森を沖縄本来の森と言えるのか」と事業全体を批判した。

琉球新報


タグ: ,