2011年8月29日
国営川辺川ダム計画の反対派は28日、五木村で、ダムによらない村の「再生の課題」を話し合うシンポジウムを開いた。和田拓也村長も登壇し、村の97%を占める森林を生かした振興策などを論議した。
反対派でつくる実行委員会が毎年行っている「清流・川辺川現地調査」の一環。民主党政権はダム建設中止を表明したが、当時約束した大型公共事業が中止となった地域を支援する補償法は成立していない。市民の側から、再建策を考えようと企画された。
会場には約200人が集まった。和田村長は林業、観光による振興を目指す一方で「シカやサルによる農作物への食害が深刻だ。人口流出や高齢化でマンパワーが不足し、水没予定地から村民が移転した『代替地』でも空き家問題が懸念される」と苦悩を語った。
熊本県立大の中島熙(き)八郎教授は、若い世代に期間限定で村に滞在しながら働いてもらう新たな制度の導入を提案。「森林の多い五木村は、水源を守る地域として国が支えるべきだ」と話した。
2000年に中止となった細川内ダム(徳島県)の反対運動の先頭に立った、木頭(きとう)村(現・那賀町)の元村長・藤田恵さん(72)も登壇。村おこしの第三セクターが経営危機に陥った時に、全国に応援募金を呼び掛け、破綻を食い止めたエピソードを披露した。
和田村長は閉会後「ダムの是非は別として、村の苦悩を多くの人に知ってもらうのはありがたい」と話した。
=2011/08/29付 西日本新聞朝刊=
タグ: イベント :: EVENT, 国内 :: IN JAPAN, 林業, 森林