将来エネルギー予測「シグナルと道標」、シェルが40年後シナリオ描く

2011/02/16

【ロンドン14日PRN=共同JBN】ロイヤル・ダッチ・シェルは14日、将来のエネルギー・シナリオに関するリポート「シグナルと道標(Signals and Signposts)」を公表した。同リポートは世界的なエネルギー開発および世界のエネルギー供給、利用、ニーズ対する深い洞察を提供する。このシナリオは人類が厳しいエネルギー・環境問題に取り組んでいる不確定な時代に重要な選択をする助けになる。
「シグナルと道標」は世界経済と金融の危機の影響を考慮することによってわれわれの考え方を最新のものにする。世界のエネルギー・システムは今後40年にわたり、大きな進展を見ることになる。市民社会と公共および民間部門の間で高まるコラボレーションは、われわれが経済、エネルギー、環境などの問題に対応したいと望むならば極めて重要である。パートナーシップは製品市場化に基づいているが、エネルギーと環境開発は正しい方向に加速させなければならない。われわれは産業と地理的境界を越えて議論を広げ、深めなければならない。

▽リポート要旨
1、われわれは世界が予測し得ない変遷と激しい経済サイクルの時代に入っていると考える。景気後退が石油および商品の価格ブームを阻んでいる。中国、インドのような新興国家が物質面の強力な開発を通じて前進し続け、より厳しい市場が引き続き価格に圧力を加え、不確定性を生み出す。政策決定の改善と生産性の大きな前進は、過去20年のインフレなき経済の成長に役立った。われわれは良い政策、優れた実践、幸運というこの組み合わせの緩和効果が将来も持続するとは信じられない。

2、われわれはエネルギー利用の段階的変化を目撃している。人口大国の中国とインドを含む発展途上国は、エネルギー大量消費型の経済成長局面に入って工業化、都市化を進め、社会基盤を構築し、輸送手段の利用を高めている。需要圧力がエネルギー利用における代替供給とより大きな効率を促しているが、これだけで高まる需要の緊張関係を完全に相殺するのに十分ではない。2050年までの世界の基本的なエネルギー需要は、新興経済国が歴史的な開発パターンを踏襲する限り2000年のレベルから3倍になり得る。
3、大まかな条件の中では、当然あり得る技術革新と(市場)競争がエネルギー効率の改善を加速し、2050年に時期までに約20%基本的需要を緩和する。供給の伸びの通常レートは、技術的、地理的、競争上、財政的・政治的実態を考慮すれば、当然のことだがエネルギー生産を約50%増やすことになる。しかし、これではなお旧態依然の供給と旧態依然の需要の間には約400エクサジュール(EJ/a、エクサは10の18倍)、2000年の産業全体の規模のギャップが残る。このギャップ、すなわち「不確実性のゾーン」は、異常な需要の緩和と普通のレベルを超える生産加速の何らかの組み合わせによって埋められなければならない。

4、供給は需要との足並みをそろえるのに四苦八苦している。今後10年の終わりまでに、容易に利用可能な石油・ガスの生産の伸びは、予測される需要の伸び率と均衡しない。世界の多くの地域で豊富な石炭が埋蔵されているが、輸送上の困難と環境の劣化が石炭利用の伸びを最終的に制約している。一方、バイオ燃料など代替エネルギー源はますますエネルギー・ミックスの重要な一部にはなっているが、供給と需要の緊張関係を完全に解決する特効薬にはならない。

5、スマートな都市開発、持続的な政策推進、商業および技術的なイノベーションはすべて、何らかの需要緩和につながり得る。しかし、価格に与える衝撃、ワンパターンの政策、欲求不満の願望でもそうなり得る。タイムスケールが一つの主要因である。建築物、社会基盤、発電所は数十年続くものである。車両ストックは20年間持続し得る。新しいエネルギー技術が商用規模で実現されなくてはならず、生産能力を構築しエネルギー・システムの1-2%でも備えて十分に成長するには30年持続する2桁の成長を必要とする。今後5年に実行し得る政策は、今後10年の投資を決定することであり、それは主として2050年までの世界エネルギーの実態を方向づけることである。

6、世界経済危機は経済的、政治的な力が西洋から東洋に移行することと一致する。このような決定的移行は、世界の経済と政治システムを変えつつある。変化は段階的であるが、あり得る結果は深淵である。西洋の経済危機はこの傾向を加速する。将来世代は2008年を転換点として見るかもしれない。世界は不確かな世界政策の時期に対面する。戦略的断層線が生じつつある。振興諸国は、彼らが国益として見るものをますます確信を持って主張し始める。これが集団的抑止力を保証する世界的メカニズムを弱体化する。

7、環境上のストレスが高まっている。化石燃料がエネルギー・ミックスの現状を維持し、高まる需要に対応することが可能であるにしても、それでは炭酸ガス(CO2)排出量が人類の福利を激しく脅かすことになり得る進路を歩むことになる。化石燃料の利用を緩和し、CO2の効果的管理を持ってしても、これからの道のりには問題が山積している。大気中のCO2濃度を望ましい水準にとどめることはますます困難になるだろう。

リポート全文はシェルの以下のグローバル・ウェブサイトからダウンロードすることができる。
http://www.shell.com/home/content/aboutshell/our_strategy/shell_global_scenarios
/signals_signposts

▽ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell plc)について
ロイヤル・ダッチ・シェルは英国のイングランドとウェールズの法人組織であり、オランダのハーグに本社がある。同社はロンドン、アムステルダム、ニューヨークの各証券取引所に上場している。シェル・グループ企業は100カ国・地域余りに拠点を持ち、石油・ガス探査と生産、液化天然ガスとガスツーリキッド(GTL)の生産・マーケティング・出荷、石油製品と化学品の製造・マーケティング・出荷、再生エネルギー開発プロジェクトを含む事業を行っている。

(注意書)
Royal Dutch Shell plcが直接、間接に所有している企業は、それぞれ別の組織体である。このプレスリリースにあるShell、Shell group、Royal Dutch Shellはロイヤル・ダッチ・シェルとその関係子会社一般に言及される際に時に応じて使われる。同様に、we、us、ourという言葉は、一般的に関係子会社あるいはその中で働く人々に言及するため使われる。これらの表現はまた、特定の企業あるいは企業群を識別することによって、何ら有用な目的に供されないところで使われる。このプレスリリースに使われているSubsidiaries、Shell subsidiaries、Shell companiesは、ロイヤル・ダッチ・シェルが直接、間接に管理している企業群に言及している。管理していることとは、多数議決権もしくは経営上の影響力を行使する権限を持っていることである。シェルが大きな影響力を持っているが管理してはいない企業群はassociated companiesもしくはassociatesと言及し、シェルが共同で管理している企業群はjointly controlled entitiesと言及する。このプレスリリースの中にあるassociates およびjointly controlled entitiesはまた、 equity-accounted investmentsとして言及される。Shell interestという言葉は、すべて第三者利権を除きシェルが合弁企業、パートナーシップあるいは企業に保有する直接、間接あるいはその両方(例えば Woodside Petroleum Ltd.に保有する24%の持ち株を通じて)の所有権を便宜的に言及するため使われる。

ファスニングジャーナル


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