2011.03.28
農林業に深刻な被害を及ぼしているニホンジカの生息数を減らすため、和歌山県は4月1日から初めての管理捕獲を始める。期間は5月20日(連休除く)まで。現在、県内で3万匹超のシカが生息していると推測されており、被害の少なかった1995年ごろの8700匹まで減らしたいという。県農業環境保全室は「これから出産期に入るため、特に雌ジカを多く捕獲してほしい」と話している。
従来の有害捕獲は、農作物や人の生活に被害が出た場合に行っていたが、管理捕獲は被害が出ていなくても生息実態に応じて数を減らす。管理捕獲の報奨金は、銃の場合1匹1万5千円、わなの場合は1匹6千円。振興局単位で捕獲数を割り当て、有害捕獲に関わるハンターや農家らに参加してもらうよう市町村を通じて依頼している。捕獲場所は市町村によって異なり、田辺市や上富田町、白浜町などでは有害捕獲区域と同じで、鳥獣保護区でも捕獲する。
各振興局の割り当ては、西牟婁が534匹で最も多く、東牟婁384匹、日高253匹、有田157匹、伊都136匹、海草24匹の計1488匹。これに狩猟4千匹、有害捕獲3500匹を加え、年間約9千匹を目標としている。
市町村別で最も割り当ての多い田辺市(338匹)は「準備を進めているが、初めての試みなので、結果を見ながら対応していきたい」と話している。
これまで県は、狩猟期間を11月1日~翌年3月15日に延期したり、雄雌ともに何匹でも捕獲できるように捕獲制限を撤廃したりして、捕獲を強化してきたが、一向に被害が減らなかった。県内の野生鳥獣による農作物被害は年間2億3千万~4億円で推移している。09年度の被害額は2億7800万円で、シカによる被害は4600万円だった。これ以外に森林被害も2300万円ある。
同保全室は「とにかく生息密度の高い所を減らしていく。管理捕獲を3年ほど続ければ、かなりの効果が望める」と期待している。
<AGARA紀伊民報
2011.03.28.>