研究の現場から:定住者増やし活気ある町に /四国

2011年1月12日

◇森林総合研究所四国支所・田内裕之さん
 お茶の産地として栄えてきた高知県仁淀川町を以前のように活気ある町に戻そうと、森林総合研究所四国支所(高知市朝倉西町)の田内裕之・産学官連携推進調整監(53)らが地元NPO団体と協力して取り組んでいる。

 同町によると、1954年の約2万5000人(当時は仁淀村、吾川村、池川町)をピークに人口が減少し、昨年末には約6800人と過疎化が進んでいる。

 田内調整監らは、同町の森林率90%の特性を生かし、放置された森林や休耕地を復活させることで、再び多くの人を呼び戻せないかと考えた。

 「農林業はつらい、もうからない」といったマイナスイメージを解消させるため、労働時間や賃金など数字化させた。仕事に見合った収入分を示すことで、Uターンした若者が農林業に取り組みやすくした。

 また、放置された耕作地に菜の花を大量に植えた。田内調整監は「奇麗に花咲けば、貴重な観光資源になるだけでなく、菜種油といった自然エネルギーにもなる」と話す。このほか石油の代替エネルギーとして不要品の木材を燃料にした「木質ペレット」などの活用にも取り組んでいる。

 こうした取り組みは昨年に始まったばかりで、試行錯誤だが、これまでに2人が同町に戻った。「最低子ども1人は養える生活スタイルを築いていければ、もっと定住者は増える」と話す。田内調整監は「仁淀川独自の生活スタイルが確立し、全国に広がっていければ」と意気込んでいる。【黄在龍】
<2 地方版 2011/01/12>


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