CO2吸収増5年で4086トン

富山市内の森林の間伐で幹を太くすることによって増える二酸化炭素(CO2)吸収量は、2008~12年度の5年間で4086トンに上ることがわかった。森林による新たな吸収量は、CO2排出量削減を目指す企業などに売却が可能で、現在の相場で約4000万円の売り上げとなりうる。同市などは「森のチカラ富山プロジェクト」の事業名で来年3月にも販売を開始する。

 地球温暖化につながるCO2削減を目指して話し合うため、25日に開かれた同市の「カーボン・オフセット検討委員会」で報告された。

 同市は今年7月、市内の婦負、立山山麓の両森林組合とともに、森林のCO2吸収量を企業などに売却し、林業の振興財源とする「オフセット・クレジット制度」を運営する「市カーボン・オフセット運営協議会」を県内で初めて設置。市内の151ヘクタールの森林の木々の若さや成長量などをもとに、間伐により1本1本の木が太くなることで増えるCO2吸収量を算定した。環境省の関連団体「オフセット・クレジット認証運営委員会」の審査を受け、10月25日に吸収量増加につながるプロジェクトとして登録を受けた。

 今後、検証機関による現地確認などを経て、来年3月にも吸収量のうち188トンを売り出す。残りは同11月の発売を予定する。現在の相場は1トン当たり1万円程度だが、購入希望の企業を探すなど実際の取引は「プロバイダー」と呼ばれる専門機関を通すため、売上額から2、3割程度の手数料を差し引いた残りが利益となる見通し。利益は一層の間伐促進など森林整備の財源とする。

 同市の林野面積は市面積の7割相当の8万6000ヘクタール。うち間伐が必要な人工林は1万3400ヘクタールに上るが、林業従事者の減少によって1年間の間伐実績は150ヘクタールと1%程度にとどまる。市森林政策課は「人工林をすべて間伐できれば100倍の潜在力がある」と、森林整備の必要性を訴えている。
<読売新聞(2010.11.27)>


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