放置間伐材を薪に活用 遠野のNPO法人

遠野市のNPO法人「遠野エコネット」(千葉和(なごみ)代表理事)は山林から間伐材を搬出、加工して販売する「薪(まき)の駅プロジェクト」に乗りだした。県内では2006年度創設の「いわての森林づくり県民税」を活用した間伐が進んでいるが、搬出経費に見合わないなどの理由で山林に放置された木材が目立つ。同法人では「活動を通して地域に眠る森林資源の有効活用を訴えたい」と意気込む。

 同法人は同市の綾織町と宮守町にまたがる民有林約20ヘクタールから間伐材を搬出、長さ約40センチの薪に加工して販売する。目指すのは「木の産直」だ。

 県の「提案公募型県民協働モデル事業」の委託料100万円を受けた。10月には試験的に500束(1束7~8キロ)を大手ホームセンターに販売したが、卸価格は1束100円程度で収益から労力、運搬コストなどを差し引くと大幅な赤字。千葉代表は「どうやっても採算は合わない。間伐材が山に放置されている理由がよくわかった」と話す。

 県内では毎年約1万数千ヘクタールの間伐が行われているが、利用割合は45%(直近の06年度県林業動向年報)にとどまり、多量の木材が山林に眠ったまま。「捨て間(かん)」と呼ぶ林業関係者もいる。

 県林業振興課によると、いわての森林づくり県民税は09年度までに約27億9千万円の税収があり、約5500ヘクタールの間伐をした。しかし、間伐後の木材はほとんどが森に放置されたままだ。これらの搬出利用策も今後の課題となる。

 同課の工藤亘主任主査は「県民税を活用した間伐事業でこれまでに搬出された間伐材は1割程度にとどまっている。遠野の取り組みを今後の参考にしたい」と話す。

 同ネットは薪1束を当面200円で販売。今後、活動ボランティアも募る。千葉代表は「地元の資源を放置し、地球の裏側から石油を運んでくるのはおかしい。薪を燃料として見直し、活用する動きを少しずつ広めたい」と意欲を見せる。
<岩手日報(2010.11.27)>


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