釜石市の釜石地方森林組合(曽根哲夫組合長)は、環境省が主導する「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を通じ、間伐などによる森林の二酸化炭素(CO2)吸収量の一部を、大手メーカー・キヤノンのグループ企業に販売すると発表した。売却益は地域内の造林や間伐費用に充てられ、持続的な森林経営の維持に活用される。
同制度は、地球温暖化の原因とされるCO2など温室効果ガスの排出削減・吸収量を、市場で取引できる「クレジット」として認証。削減困難な企業に売却することで、企業の温室効果ガス排出量を相殺する仕組み。
販売見込みのCO2吸収量は年間2084トン。04~12年の間に同組合が釜石市内で集約化した人工林483・85ヘクタールで、間伐などの森林管理によるもので、12月末に開かれる国の認証委員会で認められるという。キヤノンマーケティングジャパン(東京都港区)が250トン分買い取る。インクカートリッジなどの回収時に輸送トラックから排出されるCO2と相殺する。取引価格は非公表。
同組合の曽根組合長は「山に手を掛けないと、自然災害が発生した時に2次、3次災害につながる。制度は森林を維持・再生する有効な手段だ」と話している。県内では岩泉、葛巻両町が連携して進めている間伐促進プロジェクトがJ-VERのクレジットを取得している。【湯浅聖一】
<毎日.jp(2010.11.20)>