木の吸収量わかる「カンヅメ」

k_img_render.php成長しながら二酸化炭素(CO2)を吸収し、「CO2の缶詰」といわれる木の役割がひと目で分かるように、スギ間伐材を缶詰形に加工した「CO2のカンヅメ」を、大川村の家具職人で「協同組合木星会」代表理事の川村純史さん(61)が作った。ラベルには、木がCO2を吸収して炭素としてため込んだ量を計算できる換算式を印刷。「森の教材」として全国に広め、英語版も出す計画だ。(前田智)
 カンヅメは直径約9センチ、高さ11センチの円柱形で、重さ約270グラム。スギ育成の過程で間引きされる間伐材を乾燥させて磨き、透明塗料で手触りも木目も美しく仕上げた。
 ラベルには、独立行政法人森林総合研究所(茨城県つくば市)が公表しているCO2吸収と炭素固定の換算式を添付。カンヅメ1個分の木が育つ過程で500グラムのCO2を吸収し、炭素を幹や葉などにため込んだことを説明している。「燃やすと木の中に閉じこめられていたCO2が放出されます。万が一燃やした場合は、また木を育ててください」と注意書きも付けた。
 大川村は四国山地にあり、人口は465人(今年9月末現在)で離島を除く市町村で全国最少。平地の大半が“四国の水がめ”早明浦ダムに水没し、面積の9割以上を険しい山地が占める。川村さんらの木星会は、地元の林業と水源地の山林を守ろうと、スギ間伐材で家具を作っている。
 木や森が果たす役割を簡単に広く伝える方法はないか――。川村さんの頭の中には、環境問題で専門家の講演を聴くたびに引っかかっていた「木はCO2の缶詰」という言葉があった。木を文字通り缶詰形に加工すれば「『これのどこがカンヅメなんや?』と驚かれ、環境に目を向けるきっかけにならないか」とカンヅメ作りをひらめいた。
 森林が占める割合が84%と全国1位の高知県。その数値を豊かさの指標ととらえて新産業の創出を目指そうと、県内の商工関係者やNPO法人が取り組む民間活動「84プロジェクト」にカンヅメを提案。その第1号認定商品として販売が決まった。
 1個840円(税込み)で、収益の一部は環境保全活動の資金とする。木星会ホームページ(http://mokusei.or.jp/)で購入できる。問い合わせは同会(0887・84・2344)へ。
<asahi.com(2010.10.27)>


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