地産地消で木の家 高知県土佐町で地元杉材使い木造モデル住宅【高知】

ea373b0c83d689c0425596cb294a3b04定住増の拠点に

集落活動センターを軸にした活性化策が進む高知県土佐郡土佐町の石原地区で、定住人口の底上げにつなげようと、地元の杉材を使った木造モデル住宅の建設が進んでいる。伐採から製材、建築まで全てを地元業者や住民が協力して行う一大プロジェクト。集落人口が減少する中、空き家不足の解消や木材の地産地消を目指す。

土佐町の石原地区では集落活動センターが2012年7月に設立され、住民組織「いしはらの里協議会」が運営している。いしはらの里協議会の呼び掛けで、2013年11月には住民が「合同会社いしはらの里」を設立し、閉鎖されていた地区唯一のガソリンスタンドや商店を経営するほか、毎週日曜日には直販市を開いている。

集落維持に向けた活動が続く中、急務の人口対策では、地区出身の若者や移住希望者が定住する住宅の確保が課題となっていた。そこで合同会社が中心となり、伐採から建築までを地元で手掛ける「いしはら木の家プロジェクト」を立ち上げた。

まずは土佐町西石原の民有地を借り、モデル住宅として約50平方メートルの木造平屋1棟を建設する計画。一般的な住宅と比べて低価格に抑えられるよう、トイレと風呂を備えた1DKのシンプルな間取りに設計した。

2016年夏から、土地の造成工事を開始。使う杉は地元の林家が地区内で伐採し、それを地元業者が製材するなど“メードイン石原”にこだわった。11月上旬に行われた棟上げには、住民ら10人ほどが集まり、大工が本職ではないメンバーも力を合わせて作業した。

モデル住宅は年内の完成を目指し、完成後は移住希望者が短期滞在できるお試し住宅として活用する予定。将来的には同様の住宅を地区に建てて希望者に貸し出し、定住の増加や地区経済の活性化につなげたいという。

プロジェクトリーダーの窪内秀幸さん(62)=土佐町東石原=は「いしはらの里協議会」の設立時から、地元材で家を建てたいと住民で話し合ってきた。まずは1棟建ててみれば、どれくらいの費用で抑えられるのかも分かってくる。石原に移住者を呼び込めるようになれば」と期待を込めた。

高知新聞