【経済】4、5階建ての木造ビル普及 新技術で林業再生へ

PK2015010402100027_size0林野庁は二〇一六年度から、マンションなど四、五階建て木造ビルの普及に乗り出す。現在は施工例が少ないが、CLT工法と呼ばれる新たな建築技術を活用すれば、鉄筋コンクリート造りと同等の丈夫なビルを建てられるという。国産材の需要を増やし、林業再生につなげる狙いだ。

建築着工統計調査によると、一三年に新築された一~三階建ての建物約五十六万棟のうち、八割は木造だ。だが四、五階建てでは約五千棟のうちわずか四棟で、六階以上になるとゼロだった。林野庁担当者は「中高層ビルの木造化は技術的に難しく、これまでは国産材の利用先として想定してこなかった」と話す。

CLT工法は一九九〇年代に欧州で誕生した。層ごとに板の繊維の向きが交差するよう重ねて接着し、分厚いパネルを生産。これを組み合わせて床や壁にする。欧州では九階建てマンションなどの建築実績を重ねている。施工が簡単で工期が短縮できるほか、断熱性も高いため林野庁は国内でも普及するとみている。

現在はCLT工法での建築は原則として認められていないが、林野庁は解禁に向け、研究施設で強度や防火性能などをテストしている。福島県などに実験棟を建て、施工ノウハウも蓄積している。国土交通省と協力して建築基準を整え、一六年度中に住宅メーカーや建設会社が建てられるようにする計画だ。

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