カラマツなどの燃料利用に弾みをつけようと、佐久地方を中心とする林業関連5社の代表らが、チップ製造販売の新会社、佐久森林エネルギー(長野県南佐久郡佐久穂町)を設立した。一定の品質のチップを安定供給し、入浴施設などでの木質チップボイラー導入を後押しする狙い。間伐材の需要を拡大し、山林での森林整備を促しながら、地域で自前のエネルギーの確保を図る。
5社は、チップ製造の佐久チップ産業(佐久穂町)、木材伐採などの吉本(同)と要林産(南佐久郡川上村)、製材業の田村木材(佐久市)、林業システム開発のラブ・フォレスト(長野市)。いずれも佐久地方の市町村や林業関係者らでつくる佐久林業連絡会議の会員で、新会社は各社の役員が個人で出資して設立した。資本金は51万円。
新会社は、佐久チップ産業の設備を使い、設備投資を抑えて製造販売の仕組みを整える。チップは燃料用に、含水率を30%以下に自然乾燥させて出荷。県林務部によると、県内には製材業者も含めて55社がチップ製造を手掛けているが、製紙向けが主体で、燃料に特化した事業者は珍しい。
連絡会議は昨年度、入浴施設の温水加熱や農業用ハウスの暖房などでチップボイラー導入を事業者に提案したが、チップの品質や価格、量の確保の面で不安の声が寄せられたため、まずは供給態勢を整えることにした。
販売価格は1キロ20円に設定。同会議の試算によると、年150キロリットル以上の灯油を使う施設は、チップボイラーの方が灯油より燃料代が安くなる可能性が高い。ある入浴施設は2012年度に270キロリットル余りの灯油を使い、約2100万円かかったが、メーンのボイラーをチップ用に替えた場合、400万円余りを抑えられる計算になったという。
新会社の会長に就いた田村木材の田村文男社長は「木の需要を高め、山林所有者にお金を還元しながら、山林の荒廃を食い止められるようにしたい。地域資源をうまく使う仕組みを作りたい」と話している。
連絡会議は18日、森林資源の熱利用について考える「森林フォーラム」を佐久市の県佐久勤労者福祉センターで開く。事務局が新会社の狙いなどを話す。午後1時から、参加無料。問い合わせは県佐久地方事務所林務課(電話0267・63・3154)へ。