「癒やし木」で病から復帰 青木建具の青木代表【北海道】

THM20140508-0018361-0019676【芽室】2011年にうつ病を患い、事業を休止していた建具製作の青木建具(芽室町西8ノ3ノ1)の青木剛代表(54)が、「癒やし木」をテーマにした木のオブジェや家具の製作を始めた。体調を崩してから3年、自身をも癒やした「(木の)香り、光、影、木目、機能性を生かして世の中の人を癒やしたい」と意気込んでいる。

青木建具は1958年に青木代表の父剛二さん(80)が創業し、主にふすまやかまち、欄間などの木製建具を製作。剛さんも物心ついた頃から木材に親しみ、職業訓練校を卒業直後の21歳で会社を継いだ。

しかし、仕事への熱意と反するように和室のない住宅も多くなるなど建具業界は冷え込む一方。両親の介護、子供の発達障害などといった心労も重なったことで体調を崩し、11年4月にうつ病と診断され、同年8月に自社の事業を休止した。他社で作業員をしながら療養の日々が続いた。

転機が訪れたのは今年2月。勤務先の会社が倒産し、不安な思いの中で目にしたテレビ番組で、精油の香りで人を癒やす「メディカルアロマセラピー」(芳香療法)の存在を知った。自身もヒノキなど豊かな香りの木材に癒やされてきた体験が重なり、「職人としての技術をお金もうけのためだけに使うのではなく、木で人を癒やすことをしたい」と思い立ち、事業の再開を決めた。

現在も通院しているが、うつ病の症状は軽くなり、「やる気に充ち満ちている。無理をしないよう心掛けて仕事を続けたい」と青木さん。製品化しているのは、防水のLED(発光ダイオード)ライトを付けて風呂に浮かべ、明かりとともに木の香りや肌触りを楽しめるオブジェをはじめ、通常は廃棄される曲がった木材を活用して立体的な構造にしたフォトフレーム、かんな掛けで出たヒノキの木くずをお茶のパックに詰めて香りを楽しむ天然の入浴剤など。

青木さんは「人生は最後まで諦めず、次々と現れる扉を開け続けることだと分かった」と意欲を燃やしている。

10日からは毎週土・日の午前9時から午後5時まで、同社作業場で一般向けの製品を展示する。見学希望者は青木さん(090・2696・8523)へ事前連絡が必要。

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