京都府福知山市の長田野工業団地にあるエスペック福知山工場(桶谷馨工場長)は、三和町で捕れたシカ肉を使ったカレーを社員食堂の昼食メニューに取り入れた。環境試験機器メーカーとして地球温暖化防止につなげる観点から、野生のシカを食べることで二酸化炭素を吸収する森林を守ろうという初の試み。社員からは「臭みはなく、歯応えがあっておいしい」と好評。
シカは、植林した木の新芽を食べたり皮をはいだりし、農作物も食い荒らすなど被害が深刻になっている。エスペック社は地球温暖化防止、防災など多くの役割を持つ森を守る取り組みを続けていることから、府内のNPO法人などが実施する「社員食堂で地産地消=温暖化防止キャンペーン」としてシカ肉をメニューに加える事にした。
25日には4種類のメニューのうち一つを「シカ肉カレー」にした。シカ肉約2キロをひき肉に加工して調理し、40食分を用意。「牛肉や豚肉とはまた違った味。予想以上においしく、またメニューに出れば、注文したい」などと好評だった。
今後も2カ月に1回の割合でシカ肉を使った料理を出す予定。同社のみどりの学校推進グループを担当する土田真奈見さんは「シカ肉は、豚、牛肉に比べて鉄分が豊富で、高タンパク、低カロリー。他の企業や市内の小学校などにもシカ肉の料理を普及させ、野生のシカの常食が個体数の適正化につながることを伝えていきたい」と話していた。
写真=シカ肉のカレーを味わう社員たち