森林アカデミー卒業生ら鵜籠職人の技継承

2013年4月11日

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 ウの運搬や寝床に使う竹編みの籠「鵜籠(うかご)」を作る技術を、県立森林文化アカデミー(美濃市曽代)の卒業生らが継承している。国内唯一とされる鵜籠職人から学んだ愛知県一宮市の鬼頭伸一さん(60)を中心にした七人で、若手を育てて伝統漁法への貢献を目指している。

 鬼頭さんは二〇一〇年度に卒業研究で竹細工を調査。そこで、卒業生らでつくる美濃市のNPO法人「グリーンウッドワーク協会」とアカデミーの学生ら四人とともに、関市相生町の鵜籠職人石原文雄さん(77)から指導を受けた。

 石原さんは、岐阜市の長良川鵜飼や関市の小瀬鵜飼、愛知県犬山市の木曽川鵜飼の鵜匠八人に鵜籠を供給していていたが、一一年春に病気で休業。それまで鵜籠を年に一度交換していた鵜匠たちは、予備の籠を使ってしのいでいるという。

 鬼頭さんらは技術を継承するため、卒業後も週一回ずつアカデミーに集まって技を磨いてきた。現在はメンバーが七人に増え、今年二月からは美濃市広岡町の番屋二号館に場所を移して週二回ずつ練習している。

 鵜籠は四羽のウを入れる「四つ差し」、鵜が採ったアユをはき出す「吐籠(はけかご)」など種類も多い。鬼頭さんらは、石原さんが手掛けた鵜籠を採寸して図面化した資料などを基に、竹の厚さや編む強度を工夫している。

 メンバーは六十代の男性や主婦が多く、鵜籠職人の後継者としては不向きという。鬼頭さんは自分たちの役割を「つなぎ」と言い、その上で「将来的に鵜籠職人になる若い男性たちが出てきてほしい」と期待した。

中日新聞