2013/02/21
福岡県は、新年度から園芸農家のビニールハウスを、木質チップボイラーと既存の重油暖房機を併用して温度管理する「ハイブリッド暖房システム」の実証実験を始める。使い道の少ない間伐材を燃料として利用し、高騰する重油の使用量を減らしコスト削減を図る。担当者は「一石二鳥の取り組み。効果を実証し、福岡方式として定着させて農家の経営安定につなげたい」としている。
県によると、冬場にハウスの暖房に使うA重油の1リットル当たりの価格は、2002年の40円台から上昇を続け、昨年は89円にまで高騰し、農家の経営を圧迫している。一方、成長の途中で伐採される間伐材は、建築木材に適さず需要が少ない。山から運び出すコストも高く、利用が進んでいないのが現状だ。県の推計では、間伐材の9割以上が未利用のまま山に放置されているという。
実証実験は、複数の園芸農家が集まる1ヘクタール規模の園芸団地で行う。木質チップボイラーと複数のハウスを配管でつなぎ、加熱した水を各ハウス内に設けた熱交換器に送り、温風にして室内を温める。一定の室温まではボイラーで上昇させ、これまで各ハウス内に設置していた重油暖房機は補助的に使う。
これにより重油使用量を75%程度削減できると見込んでいる。間伐材は、建築木材などに使う木と一緒に山から運ぶことで輸送コストを圧縮し、団地周辺の木質チップ工場で加工する。
県は、ボイラー費用など関連事業費約6千万円を13年度一般会計当初予算案に計上した。暖房が必要になる11月の運用開始を目指し、実証実験を行う園芸団地1カ所を選ぶ。15年度までコスト削減効果を検証して実用化のめどを付ける。
=西日本新聞夕刊=