2013年2月2日
森林整備、雇用拡大も期待
松阪市で2014年秋に木質バイオマス発電の施設が完成するのを前に、発電に必要な間伐材を安定供給していこうと、県内の森林組合や林業者らが1日、「県木質バイオマスエネルギー利用推進協議会」を設立した。間伐材の供給、運搬、発電のサイクルができることで、これまで放置されてきた間伐材の利用が期待でき、林業者は「買い取ってもらえれば、森林整備や雇用拡大につながる」と歓迎している。(沢村宜樹)
松阪地区では、発電施設を建設・運営するため、林業会社など4社が昨年8月末、「三重エネウッド協同組合」(松阪市中央町)を設立した。間伐材のチップを燃やす発電施設は出力5000キロ・ワットで、一般家庭約1万世帯の電気をまかなう。年間5万トンの間伐材の使用が見込まれている。
計画では、林業者が山から間伐材を運搬。「ウッドピア木質バイオマス利用協同組合」(松阪市木の郷町)で細かく砕いてチップにした後、三重エネウッド協同組合で発電。できあがった電気を電力会社に販売する。
協議会によると、県内で間伐が行われる森林の面積は年間約9000ヘクタール、間伐材は約90万立方メートルに上る。収集・運搬のコストがかかるため約90%が、山の中に放置されている。
放置された間伐材は、台風などで山から滑り落ち、家屋を壊す恐れがあり、問題となっている。“厄介者”の間伐材を処理し、エネルギー供給にも役立てるのが木質バイオマス発電だ。
発電に使われる木材には、〈1〉未利用間伐材〈2〉一般木材〈3〉建築廃材などがあり、売買価格が異なるが、松阪地区の木質バイオマス発電では、未利用間伐材のみを使う予定。
協議会では、会長に県森林組合連合会の青木民夫会長が選ばれ、「これまで間伐材が放置され、山も荒れていたが、これで人の手が入って整備も進む。雇用も拡大すると思うので、非常にありがたい試み」と期待を語った。
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