木のストロー普及で脱プラ=間伐材使用、林業活性化の期待も

20190617at01S_t国際的な問題となっているプラスチックごみの排出削減策の一環として、国内の企業が間伐材を使用した木のストローを開発した。5月に新潟市で開かれた20カ国・地域(G20)農業相会合のレセプションで採用され、林野庁も行政のイベントなどで普及活動に乗り出した。環境対策に加え、林業の活性化にもつながると期待されている。

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開発したのは木造注文住宅を手掛けるアキュラホーム(東京都新宿区)。かんななどを引いて削る日本独自の技術で木材を0.15ミリまで薄く加工し、口に入れても安全なのりで筒状に巻いて製造する。価格は1本50円と割高だが、プラスチック製の代替品として使われ始めた紙製ストローに比べ耐水性が高いのが特長だ。材料には国産のスギが適しているという。

国内では、森林の手入れで生じる間伐材の利用が思うように進んでいない問題がある。林野庁関係者は「国産材をもっと活用してもらうきっかけになれば」と期待する。

木のストローは現在、シルバー人材センターや福祉作業所などで生産され、高齢者や障害者らの雇用にもつながっている。中央官庁や有名ホテルからの引き合いも多いというが、生産拠点が限られ一本一本が手作りのため、要望に応えきれていないのが実情だ。同社の担当者は「大量生産ではなく、人が口にするものだからこそ、まずは安全性を第一にしていきたい」と当面は品質の確保に重点を置く考えを示す。

海外ではストローなど使い捨てプラスチック製品を規制する動きが広がっている。木のストローは、G20農業相会合でも反響が大きかったといい、同社は安全性も含めて認知度を高めつつ、徐々に生産量の拡大を目指していく構えだ。

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