豊かな自然の暮らしに魅力 徳島、林業志す若者増加

200_G33ooffC就職の選択肢として林業を志す若い世代が増えている。徳島県が2016年度に開設した「とくしま林業アカデミー」の1期生11人に続き、3月に卒業する2期生13人も全員が県内の林業関係の仕事に就く。3期生は15人が入学を予定する。かつてはきつい・汚い・危険の「3K」と言われ、敬遠されてきた林業の現場で奮闘する若者の思いを取材した。

アカデミーは林業の即戦力人材の育成を目的とし、1期生は県内の森林組合や林業会社、徳島森林づくり推進機構に就職した。木材の伐採や搬出、植林などに携わっている。

徳島市の木材卸、ゲンボクに就職した徳田悠起さん(27)=同市=は四国大児童学科を卒業後、25歳まで千葉県で小学校教諭を務めた。満員電車の通勤など都会生活に嫌気が差し、徳島にUターンした。大学のゼミで山仕事を手伝った経験から、林業に関心があり、アカデミーに入学。そして就職につながった。

「収入は減ったが、趣味のロードバイクやサーフィンに打ち込む時間ができた」と満足そうに話す。

2期生の野原洋介さん(38)=神山町=は大阪府高槻市出身で、自動車の部品工場などで働いていた。神山在住の知人から聞いた豊かな食文化や自然に囲まれた暮らしに魅力を感じ、アカデミーに応募。春には徳島中央森林組合(神山町)に就職する。「年齢的にも早く技術を習得して一人前になりたい」と力を込める。

このほか、那賀町と林業団体でつくる「那賀地域林業担い手対策協議会」は、県内外の若者を対象にした3日間の林業体験イベントを15年度から開催。3年間で43人が参加し、4人が林業関連企業に就職した。池田高校三好校とつるぎ高からも17年度に5人が林業関係の仕事に就いた。

田舎暮らしへの関心の高まりや、機械化による作業効率化の進展などが、林業に就く若者の増加理由とみられる。ただ、林業の担い手不足は全国的な課題で、人材獲得の地域間競争は激しくなっている。若い人材をさらに呼び込むには確保策の充実だけでなく、稼げる林業の実現が何より重要な課題となっている。

【写真説明】県内での林業就業に向け、研修に取り組むアカデミー2期生=上勝町

徳島新聞Web