自伐型林業に取り組む高知の中嶋さんが日本財団「リーダー」に【高知】

d834a245eed7cf772a7fc72a68c2ba0d小規模で持続的な「自伐型林業」の普及に取り組んでいる高知県吾川郡いの町天王北4丁目の中嶋健造さん(54)=NPO法人自伐型林業推進協会(東京都)代表理事=が、社会課題の解決に向けた革新的なリーダーとなる日本財団の「ソーシャルイノベーター」に選ばれた。日本財団から活動資金の支援を受け、自伐型林業の魅力をさらに広めていく予定だ。

自伐型林業は山林所有者らが業者に頼らず、小型パワーショベルや軽トラックなどを自ら使い、伐採や搬出を手掛ける手法。「数千万円の高性能機械を必要とせず新規参入が容易になる」といった利点がある。

中嶋さんによると、自伐型林業では、30~50ヘクタールの山林で数百万円の収入が期待できる。この10年間で、県内の移住者ら50人以上が中嶋さんらの指導を受け、自伐型林業を主業として生計を立てているという。

自伐型林業には「永続的な森林経営」という狙いもある。

皆伐ではなく、100年以上の長年にわたって間伐を行い、年数を経た優良な大木を将来的に出荷する。それによって、長期の安定収入につながる、と中嶋さんは話す。

中嶋さんは、高岡郡佐川町主催の勉強会に講師役として関わるほか、全国各地の勉強会に出席し、行政関係者らに自伐型林業の将来性を訴えている。

「ソーシャルイノベーター」は、困難な課題の解決に向けて取り組みを進めている指導的立場の人で、日本財団が2016年に初めて、全国のさまざまなジャンルから11人を選定した。

中嶋さんは7月にこの1人に選ばれ、9月28~30日に東京都内で開かれる日本財団のフォーラムで自らの活動を発表する。

中嶋さんは「自伐型林業は中山間地域が生き残っていくために欠かせない産業。成功事例が広がっていけば、加速度的に広がる。そのためのイノベーターを全国につくりたい」と話している。

高知新聞