川西のクヌギ林が「林業遺産」 炭の原料供給で独特の樹形【兵庫】

d_07069716日本森林学会(東京都)は、林業発展の歴史を将来にわたって記憶、記録する「林業遺産」に、川西市黒川の「猪名川上流域の里山」を選定した。初めての林業遺産には全国で10件が認定されており、兵庫県内では川西が唯一選ばれた。(太中麻美)

認定されたのは、能勢電鉄の所有地で、黒川駅と山上駅を結ぶ「妙見の森ケーブル」周辺に広がる台場クヌギ林。

一帯で生産されてきた菊炭の原材料で、根元から1~2メートルで幹を伐採し、新しい幹を8~10年成長させては、再び切る独特の仕立て方を繰り返すうち、元の幹が土台(台場)のように太くなることから名付けられている。

「室町時代以降の著名な池田炭・一庫(ひとくら)炭の生産地として、趣を今に残している」ことが選定理由として挙げられた。

林業遺産は、同学会が、設立100周年の記念事業として2013年度に初めて募集。林業発展の歴史を示す景観や施設、跡地のほか、技術や道具、古文書などの資料を、後世に引き継いでいくのが目的で、学会員からの応募推薦を受け、審査を行った。

能勢電鉄は「日本一の里山と呼ばれる貴重な資源。保全に努めつつ、魅力を広くPRしていきたい」としている。

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