皇室3代森づくりへ 揖斐川町での育樹祭、ヒノキ移植構想【岐阜】

201401030924_216752015年秋に揖斐郡揖斐川町谷汲名礼で開催される第39回全国育樹祭(国土緑化推進機構、岐阜県主催)で、天皇陛下が8年前に下呂市で手まきしたヒノキの若木を、昭和天皇、香淳皇后が57年前に現地で手植えして大木に育ったスギの近くに移植する構想が検討されていることが2日、分かった。皇太子ご夫妻が出席されれば、他県にはあまり例のない皇室3代にわたる森林づくりが実現することになる。

岐阜県は宮内庁と協議して、調整を進める。県林政部は「森林を守り育てることの大切さを次の世代に伝える象徴的な行事としたい」と狙いを話している。

育樹祭の手入れ会場は谷汲名礼の県営林。06年に下呂市で開催された全国植樹祭で天皇陛下がヒノキの種子を手まきされ、芽吹いた稚樹を谷汲に移し仮植してある。現在、高さ2メートルほどに生き生きと育っている。

この近くに、昭和天皇、香淳皇后が1957(昭和32)年に開催された「植樹行事ならびに国土緑化大会」(全国植樹祭の前身)で手植えされたスギが、約60年たった今、高さ約30メートルもの大木となって堂々と立つ。

76(昭和51)年には、このスギの手入れの様子を天皇、皇后両陛下が皇太子時代に視察されている。

来年の育樹祭で、皇太子さまがこのスギを手入れされると昭和天皇、天皇陛下、皇太子さまと3代にわたる森林づくりが実現。さらに、スギとヒノキが並べば、親から子へ、子から孫へのつながりを象徴的に表す会場となりそう。古田肇知事は「世代を超えてつながる大切さという、人から人への時間的なつながりを意識したい」と話している。

岐阜県はまた、「これまでの枝打ちや施肥とは異なる手入れ方法を育樹祭発祥の地である岐阜県から始める意気込みだ」とも話しており、継承と新たなメッセージを併せて全国に発信する構想を検討している。

【全国育樹祭】天皇、皇后両陛下が手植えされて成長した木を皇太子ご夫妻が枝打ちなどをして手入れする行事で、各県持ち回りで毎年秋に開催。1976(昭和51)年に旧谷汲村で当時皇太子の天皇陛下が、昭和天皇が手植えした木の手入れの様子を視察された行事と、同じ年に開催された「全国育林祭岐阜県大会」が契機となり、翌77年から育樹祭がスタートした。このため岐阜県は「“第0回”育樹祭開催地」とうたっている。

岐阜新聞