奄美に森林生態系保護地域、世界遺産登録に向け

2012年10月31日

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奄美群島の世界自然遺産登録に向け、九州森林管理局は奄美大島と徳之島の国有林計約4820ヘクタールについて、原則的に人の手を入れない「奄美群島森林生態系保護地域」に指定する素案を地元首長らに示した。アマミノクロウサギなどの希少動物を優先的に保護する「特定動物生息地保護林」の新設も提案。12月上旬に最終案を確定し、関係機関などの意見を聞いた上で2013年度の発効を目指す。

今月13日に奄美市役所で開かれた第3回奄美群島森林生態系保護地域設定委員会(座長・米田健鹿児島大農学部教授)で示した。

素案では、奄美大島で2045ヘクタール、徳之島で2775ヘクタールを保護地域に設定。奄美大島では国有林の50%、徳之島では73%にあたるという。保護地域内をさらに、原則として人の手を入れない「保存地区」と、保存地区に外部からの環境変化が直接及ばないよう緩衝帯の役割を担う「保全利用地区」に分ける。

森林面積などが保護地域の規定(500ヘクタール以上)に該当しない奄美大島の国有林のうち、1334ヘクタールは希少動物の生息地として保護林に指定。保護地域と保護林の間にある民有林についても、所有する集落などに森林生態系保全への連携と協力を求め、一定レベルの管理水準が確保された段階で、保護林を保護地域に移行する「二段階方式」を採用するとした。

平之山俊作・九州森林管理局長は「世界自然遺産登録は地元の行政や関係機関の協力がなくては実現できず、保護地域の設定にはスピード感が要求される。特に民有林との連携はとても重要になってくるだろう」と話している。

読売新聞


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