味の素、液体調味料の製造で生成される残さをバイオマス燃料として発電所に供給

2011年6月23日
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味の素は、調味料の主力工場、川崎工場(川崎市川崎区)で、液体調味料を製造する過程で生成される脱脂大豆の残さを、バイオマス燃料として川崎バイオマス発電所(同区)に供給を始めた。同発電所は、バイオマスを専門に燃やす設備では国内最大の発電規模があり、発電した電力は、東日本大震災後に要請を受けた東京電力をはじめ、各企業に供給される。

 液体調味料は加工食品の原料に使用され、主成分は大豆の植物性タンパク質を分解して得られるアミノ酸。バイオマス燃料となるのは、大豆の植物性タンパク質の分解物からアミノ酸を抽出した絞りかす。「ヒューマス」と呼ばれる。食塩や水分を多く含んでいることから燃料化が困難だったが、液体調味料製造時のろ過洗浄技術を向上させて食塩濃度と水分量の低下を図り、バイオマス燃料にできるようにした。

 川崎発電所に供給するバイオマス燃料、ヒューマスは、生育の際にCO2を吸収している植物由来の再生可能エネルギーのため、燃焼してもCO2が増えない。同じようなバイオマス燃料の木のチップと同等の熱量があり、付着している水分を除去した状態では石炭並みの熱量を持つ。味の素川崎工場での生産計画に合わせて生成され、安定的に供給できることも利点となる。

 味の素は、環境負荷の低いエネルギーが求められる中、ヒューマスを燃料にすることが環境保全に向けた意義のある取り組みだと考え、供給を決めた。川崎バイオマス発電所は2011年2月に操業を開始。3万3000kWの発電規模があり、年間のCO2削減効果は、一般家庭2万2000世帯分に相当する12万t。発電、大気環境、排水処理などの各設備を保有する。住友林業などが出資する川崎バイオマス発電が運営している。(日経BP環境経営フォーラム)

ECO JAPAN


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