加オンタリオ州、州有林の木材をバイオジェット燃料生産に供給

e_rentech_0607カナダ・オンタリオ州の北西部ホワイト・リバー・タウンシップでは、リンテック社(Rentech Inc.、本社:米ロサンゼルス)※1が、認証済みの再生可能な低炭素ジェット燃料RenJet®の生産施設、「オリンピック再生可能エネルギーセンター」の建設を進めています。州政府はこのたび、同社を州有林の木材の供給先に選定し、この建設計画である「オリンピック・プロジェクト」に対して、年間で最大110万㎥(130万米国トン)の木材を供給すると発表しました。供給される木材は、主に森林廃棄物や商品化に適さない種の樹木からの木材で、Rentech 社の、クリーンで認定済みの再生可能な低炭素ジェット燃料RenJetの継続的な生産に使用されます。これにより、約400名の雇用創出とあわせて、森林産業の活性化およびバイオエネルギー経済の構築が期待されています。同社は、カナダ連邦政府が所管するカナダ持続可能開発技術(SDTC)の次世代バイオ燃料基金(NextGen Biofuels Fund)※2から、最大で2億カナダドル(約166億円)の支援を受ける見込みです。

Rentech社のプロジェクトに対する木材供給量の割当は、州政府の北部鉱業林業開発省が州有林の木材供給に関する競争入札プロセス(Provincial Wood Supply Competitive Process)を導入して以来、最大の規模です。今回の選定により、Rentech社の「オリンピック・プロジェクト」は、安定的かつ長期的にバイオマスの供給を受けることができます。

「オリンピック再生可能エネルギーセンター」は2015年に操業を開始する予定で、最先端の再生可能エネルギーの生産施設となります。この施設には、同社のバイオマス気化システムのRentech-ClearFuelsと、現在、商業航空機用に使用できる唯一の認定済み代替ジェット燃料を生産するRentechプロセスが導入されます。これらの先端技術により、年間約8,500万リットルの認定済みの再生可能な低炭素ジェット燃料のRenJetが生産される計画です。また、再生可能な化学燃料のナフサも年間4,300万リットル生産される予定です。

Rentech社の社長兼CEOのD・ハント・ラムズボトム(D. Hunt Ramsbottom)氏は、「認定済みの再生可能な低炭素ジェット燃料の製造技術は、当社が独自に開発した実績ある技術です。当社はこの先端技術を通じて、森林産業を変革し、新たな雇用創出を支援するべく、『オリンピック・プロジェクト』に意欲的に取り組んでいます。今回オンタリオ州の競争入札で当社が選ばれたことは、低炭素燃料の将来に向けて当社が指導的な役割を果たしていることの証であり、あわせてクリーン燃料技術の開発における当社のさらなる成功への足掛かりとなるものです」と述べています。
「オリンピック・プロジェクト」で生産される再生可能ジェット燃料RenJetとナフサは、(石油から製造された同等の製品を使用した際の大気との比較で)年間約60万トンのCO2を削減すると試算されています。これは、乗用車10万台以上のCO2排出量に相当します。「オリンピック・プロジェクト」では、森林廃棄物や商品化に適さない木材を用いてRenJetを生産しますが、これは、温室効果ガスの排出量を削減すると同時に認定済みの低炭素ジェット燃料をカナダ国内に供給できるという、二重のメリットをもたらします。

実際、RenJetには、硫黄や芳香族化合物は全く含まれません。従来のジェット燃料と比較しても、RenJetから排出されるガスに含まれる粒子状物質、窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)は低量です。また、ライフサイクルCO2の排出量を、石油製のジェット燃料よりも大幅に抑えることができます。RenJet燃料の密度が低いため、航空機は離陸重量を下げることができ、さらには、燃料の節約と運用コストの低減が可能となります。

米国コロラド州のコマースシティーにあるRentech社の実証実験の施設では、合成燃料技術を利用して、これまでに15万リットル以上の認定済みの合成燃料を生産してきました。2010年には、民間航空機がRentechの合成ジェット燃料と従来型のJet-Aを混合した燃料を使用してフライトを実施しましたが、燃料性能は従来のものと比較しても、まったく遜色が見られませんでした。

※1 Rentech社について
1981年より、クリーンエネルギー・ソリューションを提供しています。同社のバイオマスのガス化プロセス「Rentech-SilvaGas」では、複数のバイオマス原料を合成ガスに変換して再生可能な燃料や電力を生産しています。このガス化プロセスを、同社独自のアプリケーションである合成ガスのコンディショニングと浄化技術、フィッシャー・トロプシュ法をベースにした「Rentech Process」(特許取得済み)を組み合わせて、バイオマスから合成燃料を生産するための統合ソリューションを提供しています。また、「Rentech Process」は、化石資源から製造した合成ガスを、超清浄合成ジェット燃料、ディーゼル燃料、特殊ワックスや化学製品に変換します。また、米ハネウェルの子会社で石油精製等を行うUOP社と協力し、最終製品のアップグレードや酸性ガス除去技術も提供しています。
ウェブサイト: http://www.rentechinc.com/index.php

※2 カナダ持続可能開発技術(SDTC)の次世代バイオ燃料基金(NextGen Biofuels Fund)について
ウェブサイト: http://www.sdtc.ca/index.php?page=nextgen-funding-niche&hl=en_CA

オンタリオ州について
オンタリオ州はグローバルビジネスにおける北米地域の拠点として発展してきました。日本はオンタリオ州にとって重要な投資・貿易相手国となっています。オンタリオ州への海外直接投資額(Foreign Direct Investment)のうち、日本からの投資額が約8%を占めます。
オンタリオ州に拠点を持つ日本企業は現在100社を超え、2万人以上の現地雇用の創出に貢献しています。自動車産業では、Toyota Motor Manufacturing, Canada, Inc.が、ケンブリッジ地域とウッドストック地域で工場生産を行っています。デジタルメディア産業では、KOEI CANADAやCAPCOM INTERACTIVE CANADAが州都トロントに制作・開発拠点を置いています。

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