被災神社 再建の役に 今秋に式年遷宮 お伊勢さん間伐材

2013年1月4日

head_logo

三重県伊勢市の伊勢神宮ゆかりのヒノキが、東日本大震災で被災した神社の再建に役立っている。二十年に一度の式年遷宮のたびに建て替える社殿用に育てているヒノキの間伐材を提供。さらに今秋の遷宮後、役目を終える旧社殿の部材も被災地などの神社で使われる見通しだ。

 伊勢神宮は、伊勢市南部に広がる五千五百ヘクタールの宮域林にヒノキなどを植林。震災後、外部へあまり提供していない間伐材を六百本、被災した神社に無償で提供することを決め、岩手県の製材所で乾燥や加工をしている。

 神社本庁によると、宮城、岩手、福島の三県で本殿などが全壊・流失した神社は約百三十社。同庁は基金を創設し、まず三月までに宮城県の十社で社殿を再建する計画だ。この十社に伊勢神宮のヒノキが使われる。

 宮城県石巻市雄勝町の新山(にいやま)神社は昨年十一月、一足先に本殿を再建した。津波で流失した建物と同じ約三坪の大きさで、資材はすべて伊勢神宮の間伐ヒノキを使った。離ればなれになった住民ら六百人が祝祭行事に駆け付けた。仮設住宅で暮らす宮司の小田道雄さん(80)は「節も少ない良材だし、香りも素晴らしい」と感謝する。

 伊勢神宮で遷宮のたびに解体される旧社殿などのヒノキは、一万本分に及ぶ。「古材」と呼ばれ、各地の神社の鳥居や社殿の改修用の資材として再利用する習わしで、前回の遷宮後は全国百六十九の神社へ譲渡した。

 今回の具体的な譲渡先は未定だが、過去には北海道南西沖地震や阪神大震災で被災した奥尻島や神戸市の神社へ譲られている。間伐材に続き、古材も東北地方の神社の復興に貢献することになる見込みだ。

<式年遷宮> 伊勢神宮で1300年続く祭事。内宮・外宮の正殿をはじめ65棟の木造社殿、刀剣・調度品など1500点余の神宝類を、8年がかりで古式にのっとって造り替え、10月初旬の夜、ご神体を新しい社殿へうつす。内宮のご神体は三種の神器の一つ、八咫鏡(やたのかがみ)。62回目の今回の遷宮に要する費用は550億円で、すべて民間の寄付で賄う。

TokyoWeb


タグ: , , , , ,